2026年(令和8年)6月24日に公布された「民法等の一部を改正する法律(法律第45号)」の主要項目について、実務上押さえるべき民法改正の本質的な情報を整理しました。
- 成年後見制度の見直し(「補助」への一本化)
従来の「後見・保佐・補助」の3区分を実質的に解消し、本人の意思尊重と使いやすさを最優先した柔軟な「新型・補助制度」へ一本化・再編されます。
- 新・民法第876条の5第1項
補助人は、補助の事務を行うに当たっては、被補助人の意向を尊重し、かつ、その財産状況について適切な情報提供を行わなければならない(意向尊重・情報提供義務の新設)。 - 新・民法第13条第1項各号
重要な財産行為の限定列挙を見直し、「預貯金の払戻し」や「一定額を超える契約の解除」など、必要な法律行為のみに限定して同意権・取消権・代理権をピンポイントで設定可能に(オーダーメイド型・スポット利用の解禁)。
- 遺言制度の方式緩和とデジタル化
終活のIT化、および「公正証書遺言の完全デジタル化(2025年10月施行)」の流れを受け、自筆証書遺言等の要件緩和とオンライン化の法整備が行われました。
- 改正・民法第968条(自筆証書遺言の方式緩和)
法務局の保管制度等を利用する場合における「押印(ハンコ)義務」を緩和・任意化し、署名やデジタル認証への代替措置を容認。● 電子保管証書遺言に関する新設規定
パソコン等で作成した電子データ(電磁的記録)による遺言書を、法務局のシステムを介してオンライン保管することで法的効力を認める新方式の創設。● 危急時遺言の方式追加
死亡の危急に迫った際の遺言において、スマートフォン等を用いた「録音・録画」を同時に行うことで、本人の最終意思をより確実かつ簡便に保全する仕組みを導入。
- 施行スケジュール
| 施行時期(予定) | 主な改正・運用内容 |
| 既に施行済(2025年10月〜) | 公正証書遺言の完全デジタル化(PDF原本化・Web会議による作成運用) |
| 公布(2026年6月24日)から1年以内 | 自筆証書遺言の押印義務緩和、危急時遺言における録音・録画方式の導入 |
| 公布から2年6か月以内 | 成年後見制度の抜本見直し(「補助」への一本化、スポット・期間限定利用の開始) |
| 公布から3年以内 | 電子データによる「電子保管証書遺言」の創設(法務局でのオンライン保管システム稼働) |
アクセスライツ法律事務所
弁護士 高島 誠

